今回は薬剤師向けの書籍を紹介します。
皆さんは、薬剤師として業務、勉強する中でこんな経験はないでしょうか。
- 医師がどうやって診断し、治療方針を決定しているのか分からない。
- 医師が薬をどう使い分けているのかが分からない。
- 疾患について検査値やバイタル、臨床経過などを総合的に知りたい。
- 薬については一通り勉強したけど、それが臨床の場でどのように使われているのか知りたい。
- ガイドラインや文献を勉強するにしても、量が多すぎて何を読んだらいいのか分からない。時間がかかる。
今回、紹介する書籍によって、これらの悩みをたった一冊で解消することが出来ます。
医師の視点が分かる本
医師は患者さんを診るときに一体どのような視点で診て、何を考えているのでしょうか。
それを知るための一助となる書籍がこちらです。
編集 筒泉貴彦・山田悠史・小坂鎮太郎
発行 メディカル・サイエンス・インターナショナル

目次
Part 1 循環器
第1章:失神 第2章:急性冠症候群(ACS) 第3章:急性心不全 第4章:心筋症
第5章:急性心筋炎 第6章:徐脈性不整脈 第7章:頻脈性不整脈 第8章:心房細動(AF) 第9章:急性心外膜炎 第10章:心嚢水貯留・心タンポナーデ・収縮性心外膜炎(CP) 第11章:弁膜症 第12章:大動脈瘤 第13章:急性大動脈解離
第14章:末梢動脈疾患(PAD) 第15章:静脈血栓塞栓症(VTE) 第16章:肺高血圧(PH)Part 2 呼吸器
第1章:喘息発作 第2章:慢性閉塞性肺疾患(COPD)急性増悪
第3章:びまん性肺疾患(間質性肺炎) 第4章:職業病肺 第5章:胸膜疾患
第6章:肺腫瘍 第7章:睡眠時無呼吸症候群(SAS) 第8章:喀血Part3 集中治療
第1章:蘇生 第2章:ショック 第3章:カテコラミンの使用方法 第4章:急性呼吸器不全 第5章:人工呼吸器 第6章:急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
第7章:ICUにおける鎮痛・鎮静 第8章:ICUのBy system評価 第9章:急性腹症
第10章:高血圧性緊急症 第11章:温度調節障害 第12章:中毒Part4 消化器
第1章:吐血 第2章:血便 第3章:下痢 第4章:腹水 第5章:小腸閉塞
第6章:憩室炎 第7章:胃癌 第8章:大腸癌 第9章:炎症性腸疾患Part5 肝胆膵
第1章:肝機能異常・肝障害 第2章:胆道疾患 第3章:肝硬変の合併症
第4章:急性膵炎Part6 腎臓
第1章:低Na血症 第2章:高Na血症 第3章:低K血症 第4章:高K血症
第5章:低P血症 第6章:低Ca血症 第7章:高Ca血症 第8章:酸塩基平衡異常
第9章:急性腎障害(AKI) 第10章:尿細管性アシドーシス(RTA)
第11章:糸球体疾患 第12章:尿管結石症Part7 GIM(General Internal Medicine)
第1章:眼・耳・鼻の緊急事態 第2章:リフィーディング症候群
第3章:高齢者総合的機能評価(CGA) 第4章:FTT(failure to thrive)
第5章:転倒 第6章:ポリファーマシー 第7章:せん妄・不眠症
第8章:緩和医療 第9章:皮膚科救急 第10章:急性腰痛 第11章:抗精神病薬
第12章:非心臓手術における術前評価 第13章:アルコール使用障害
第14章:尿閉 第15章:漢方の活用方法と副作用 第16章:不明熱
第17章:食べられないPart8 神経
第1章:意識障害 第2章:痙攣とてんかん 第3章:急性脳梗塞
第4章:Parkinson病 第5章:多発性硬化症 第6章:神経金疾患、局在診断へのアプローチPart9 内分泌
第1章:入院患者における血糖管理 第2章:糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)、高浸透圧性高血糖状態(HHS) 第3章:甲状腺クリーゼ 第4章:粘液水腫性昏睡
第5章:副腎偶発腫瘍 第6章:副腎不全 第7章:低血糖Part10 血液
第1章:白血球の異常 第2章:貧血 第3章:血小板減少症 第4章:汎血球減少症
第5章:凝固異常 第6章:輸血学 第7章:骨髄異形成症候群・急性白血病
第8章:多発性骨髄腫 第9章:悪性リンパ腫Part11 腫瘍
第1章:悪性腫瘍(総論) 第2章:悪性腫瘍の緊急症 第3章:原発不明がん
第4章:悪性腫瘍治療薬の種類と副作用 第5章:がん性疼痛
第6章:悪心・嘔吐のマネジメント 第7章:腫瘍随伴症候群Part12 膠原病
第1章:膠原病リウマチ性疾患へのアプローチ 第2章:ステロイドの考え方、使い方
第3章:関節リウマチ(RA、EORA、MRA) 第4章:リウマチ性多発筋痛症(PMR) 第5章:RS3PE 第6章:結晶誘発性関節炎 第7章:感染性関節炎
第8章:脊髄関節炎(SpA) 第9章:全身性エリテマトーデス(SLE)
第10章:抗リン脂質抗体症候群(APS) 第11章:Sjogren症候群(SJS)
第12章:全身性強皮症(SSc) 第13章:多発性筋炎(PM)/皮膚筋炎(DM)
第14章:混合性結合組織病(MCTD) 第15章:血管炎 第16章:Behcet病
第17章:成人Still病Part13 感染症
第1章:感染症に対する原則 第2章:皮膚軟部組織感染症 第3章:尿路感染症
第4章:肺感染症 第5章:カテーテル関連血流感染症 第6章:結核
第7章:骨感染(骨髄炎、椎体炎、椎体周囲腫瘍) 第8章:免疫不全患者における感染症 第9章:性感染症 第10章:真菌感染症 第11章:感染性心内膜炎
第12章:肝腫瘍 第13章:中枢神経感染症 第14章:感染性腸炎 第15章:菌血症引用:総合内科病棟マニュアル 目次
目次だけでこのボリュームです。
目次を上に書き出すか迷うくらいに、たくさんの章があります。
総ページ数は769ページに及びます。
循環器、呼吸器、神経、感染症・・・非常に多くの分野をカバーしているので、この本に書いていることは、あらゆる薬剤師に関係するしてくるかと思います。

各章の構成・内容
簡単に各章の構成と内容について紹介します。
各章ごとに、大体は以下のような構成となっています。
- DPCについて※DPC:病院入院時の保険請求の項目
- 要点まとめ
- 初期マネジメント
- 病歴
- 身体所見
- 検査
- 初期治療
- リスク層別化
- 入院後マネジメント
- 退院前アクションプラン
このように、診断⇒治療⇒退院・経過観察という、その疾患の始まりから終わりまでを網羅しています。
図や表も多く、視覚的にも分かりやすいです。
薬剤については、薬剤情報が各章ごとに多く載っており、処方例や薬剤比較、副作用についても記載があります。特に「処方例」は各疾患ごとに紹介されているため、とても勉強になります。
薬剤師だと、どうしても薬から疾患に繋げて考えることが多いですが、疾患から薬に繋げて考えることができるので、とても分かりやすいです。
また、この本はもちろん各ガイドラインや文献をもとに作成されているのですが、その参考文献などについては本の中には記載がありません。本の最初にQRコードがあり、それを読み取ることで参考文献やガイドラインを確認することが出来ます。

「総合内科病棟マニュアル」の使い方
勉強・調べもの
一つ一つの章の内容が非常に充実しており、分野を広くカバーしているので、勉強・調べものの際にとても役に立ちます。
一つ注意が必要なのが、内容が充実しているがゆえに、全ての内容を理解、記憶することは非常に時間がかかり、全て読み込もうとすると挫折してしまうと思います。
この本は、自分の脳の代わりとして、調べたくなったものがある時に、「辞書」のように使うことをお勧めします。
携帯・保管
この本のサイズは縦約18cm×横約11cm×厚さ約3cmです。マンガの単行本と比べて、面は若干小さく、厚みが2倍くらいでしょうか。
白衣のポケットにも入るかと思います。パンパンになりますし、重たいですが。
一応サイズはコンパクトなので、本が増えがちな職場の本棚、ロッカーなどにもスッとおさまってくれます。
医師とのコミュニケーション
この本は多くのガイドラインや文献をもとに作られています。ガイドラインを知ることは医師とのコミュニケーションに非常に役立ちます。
なぜなら、ガイドラインは医師との「共通言語」だからです。
医師もガイドライン(と経験)をもとに日常診療を行っているため、こちらもガイドラインを知っておくと、治療方針や薬の処方について、意思疎通がはかりやすくなります。

最後に。こんな方におすすめ
私個人としては、この本は幅広い内容の充実ぶり、ガイドラインに則って分かりやすいという部分で非常に気に入っています。
