コロナウイルスによる自粛について

現在自粛解除されてきていますが

5月17日現在、徐々にコロナウイルスの自粛が解除されつつあります。2次感染拡大を恐れる声もありますが、徐々にでも収束に向かっていっているのであれば喜ばしいことです。

私自身の仕事は医療職ではあるので仕事としては普段と変わらない日々を送っております。

さて、コロナウイルスの感染拡大を抑えるために緊急事態宣言をはじめ、外出自粛などの対応がとられてきたわけではありますが私なりに今回のコロナウイルスに関わるPCR検査や自粛についていくつか考えることがあったのでまとめてみます。

PCR検査の拡大について

コロナウイルスに感染しているのかどうか高い確率で判定するのは今の所PCRによる検査かと思います。ただこれには問題があって偽陽性偽陰性というものがあり、つまり本当は陰性なのに陽性と出てしまったり(偽陽性)本当は陽性なのに陰性と出てしまう(偽陰性)が起こる可能性があります。

今回のコロナウイルスのPCR検査において、

  • 感度(陽性の人にちゃんと陽性と出る確率):70%
  • 特異度(陰性の人にちゃんと陰性と出る確率):99%

という数字が出ているようです。

特異度として1%に入ってしまった人(陰性なのに陽性と出てしまった人)は不運にもコロナウイルスに罹患した人として2週間の隔離が必要になるでしょう。これ自体も自身の仕事や職場への影響は甚大なものになることが想像できますが、もっと問題なのは感度が70%しかないということかと思います。

PCR検査の感度は70%・・

コロナウイルスのPCR検査として感度が70%、つまり陽性の人にちゃんと陽性とでる確率は70%ということです。100人罹患者がいたら70人に「陽性」とでます。そして残り30人(偽陰性)はコロナじゃなくてよかったーと安心して外出します。そうしてまた感染者を増やしてしまう可能性があります。

感度が70%であるPCR検査は重症者や持病があり高リスクな患者さんの診断としては有用かとは思います。入院していれば偽陰性が出たところでどのみち安心して外出するということもありませんし、医療者は偽陰性の可能性を考え対応するでしょう。

PCR検査の拡大すると

このようなPCR検査を拡大すれば偽陰性と偽陽性の人の数もまた必然的に増えてきます。PCR検査をしないことで自宅待機していた陽性患者さんたちがPCR検査をすることで偽陰性の陽性患者として街に繰り出す可能性があります。

今まで検査をしていなかった1万人のコロナウイルス疑いの人に検査をすると、100人が偽陽性としてコロナウイルスに罹患していないのに隔離され3000人のコロナウイルス偽陰性(本当は陽性)の人が自宅待機をやめて外出してしまいます。これは検査拡大のメリットと比べて大きいのか小さいのかニュースなどで全然話している様子を聞かないので、個人的にはひっかっています。

また、もともと言われていたはずの、検査を広げると軽症患者が増えるため医療崩壊につながるという議論も最近は耳にしません。

PCR検査をすることで「安心」は得られるかもしれませんが、「安心」の結果さらなる感染拡大につながる恐れをしっかりと議論が必要かと思います。

自粛の効果の比較対象について

コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、外出を自粛し感染リスクを減らしましょうという方向性は間違ってはいないと思います。感染を広げないなら接触しない、これは事実です。

ただ、それによって得るものと失うものをちゃんと比較できているのでしょうか。

得るものとしては、突き詰めれば人の命でしょうか。有名な芸能人の方々が感染したりお亡くなりになったのでコロナウイルス=死亡という印象がより強く紐づけられた気がします。

失うものとしては、経済活動、つまりお金です。経済活動が滞ることで私たちの仕事などで得るお金と国が私たちから得る税金どちらも減ります。国としては補助金などの対応でさらに支出が増えます。

人の命とお金を比べるなどあってはならないという考えももっともかと思いますが、全く比較しないのもまた問題かと思います。実際に医療の世界では、この治療Aをすると90%の人を救えるけど一人救うのにいくらかかる、こっちの治療Bだと70%の人を救えるけど治療Aよりも安いといった比較がされます。時には患者さん自身が金額と照らし合わせて治療を選択することもあります。

自粛解除の決定をする会議やもちろんテレビなどでも専門家として現れるのは感染の専門家ばかりです。そりゃ感染の専門家は「感染」の専門家であって、「経済」の専門家ではありません。つまり感染を広めないということを考えているため出てくる対策は自粛ということになります。

日本には生活保護というすばらしい制度があり、それを利用すればお金がなくても生きてはいけるのですが、それを利用せずお金が無くなることで死を選んでしまう人がいるのもまた事実です。経済的な死が実際に人の命の死につながる可能性もあります。

自粛をすることでどのような効果があるのかについては感染症専門家の言葉だけではなく、経済の専門家などの言葉ももっと報道してほしいなと思っております。

最後に

コロナウイルスの影響についてはこれから様々なことが分かってくるのかと思います。自粛が完全に解かれても、しばらくはコロナウイルスと付き合っていくことにはなるでしょう。

まずはコロナウイルスに感染してしまった方、感染していない方もまたもとの日常を送れるようになることを願います。

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