こんにちは、no-suです。今回は薬剤師におすすめの本を紹介したいと思います。
薬剤師・おすすめ・本と考えたときに真っ先に思いついたのが「嫌われる勇気(著:岸見一郎・古賀史健)」でした。医療についての本ではないですが、薬剤師として働くうえで助けになる考え方が詰まっていると思います。
今回、この「嫌われる勇気」の中から特に重要な点を1つだけ取り上げます。その重要な点とは、「他者の課題を切り捨てる」です。
「他者の課題を切り捨てる」の解説とともに、実際に薬剤師にどのように関わってくるのかをまとめたいと思います。
嫌われる勇気とは
2013年に発売された本で、現在までに発行部数が200万部を突破しているようです。
アルフレッド・アドラーが創設した「アドラー心理学(個人心理学)」をもとに、現代人の悩みやストレスと向き合い克服する手助けをしてくれる本となっています。
作中では対話形式で話が進んでいき、アドラー心理学を学んだ「哲人」に対して、悩める「青年」が「アドラー心理学なんて全然納得できないよ!」とひたすら食って掛かっています。その中で「哲人」が少しずつアドラー心理学の中身を紐解いていってくれます。
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アドラーとは
1870年から1937年までを生きたオーストリア出身の精神科医です。
出典:Wikipedia
世界的にはフロイト、ユングと並ぶ3大巨頭の一人としてアドラーの名前も挙がるようです。
アドラー自身の活動としては、自信が創設した個人心理学(アドラー心理学)を携えて、ヨーロッパやアメリカでカウンセリングや講演を行っていました。また著書も多く、アドラーの後継者が今も個人心理学(アドラー心理学)を発展させています。
「嫌われる勇気」と薬剤師
「嫌われる勇気」は薬剤師にとって役に立つものなのでしょうか。それは薬剤師が直面する困った人たちを考えるとわかります。
職場に理不尽に攻撃してくる人はいないでしょうか。薬剤師の提案に対して聞く耳を持たない医師はいないでしょうか。治療の重要性を分かってくれない患者さんはいないでしょうか。
これらの頭を悩ませる人たちに対して、薬剤師はどうしたらよいのでしょうか。
その一つの解決法が「嫌われる勇気」で示されています。それは、「課題の分離」つまりは「他者の課題を切り捨てる」という言葉で示されています。
課題の分離とは
作中で、アドラー心理学を学んだ「哲人」がこう言っています。
およそあらゆる対人関係のトラブルは、他者の課題に土足で踏み込むこと、
あるいは自分の課題に土足で踏み込まれることによって引き起こされます。
つまり、「これは誰の課題なのか」という視点から「自分の課題」と「他者の課題」とを分離していく必要があります。
例えば、薬を決まった用法用量で飲んでくれない患者さんがいるとき、自身の健康のために「薬を飲むこと」は患者さんの課題であり、患者さんに薬を飲むことによるメリットを分かりやすく「伝えること」は薬剤師の課題です。
相手の課題に土足で踏み込む、今回の話なら患者さんに薬を飲むことを強要すれば、反発にあうでしょうし、薬剤師自身も疲弊してしまします。
作中では、わかりやすい例としてことわざも出てきます。
馬を水辺に連れていくことはできるが、水を飲ませることはできない
私はこのことわざにとても共感しました。
この場合の薬剤師にできるのは、患者さんの課題に対して協力するという姿勢です。実際に患者さんが自身の健康のためにどのような行動をするのか、それを決めるのは患者さんであるということです。
ただ注意が必要なのは、放任していいというわけではなく、こちらはいつでも協力しますという姿勢を相手に示さなければいけません。
他の例だと、攻撃してくる人についてはその人に「攻撃してしまうという課題」があり、その人に対して攻撃されている人が解決すべき課題ではありません。また、聞く耳を持たない人に対しても「聞く耳を持たない」という課題があります。
ただこれも相手が一緒に課題に向き合いたいという意思があれば共通の課題として向き合う必要があります。

まとめ「嫌われる勇気」と薬剤師
今回取り上げた「課題の分離」は「嫌われる勇気」の一項目にすぎません。「嫌われる勇気」では、対人関係、目的論・原因論などの話から最終的には「共同体感覚」を目指しています。
作中では、「いや、それはちょっと無理じゃない?」という考え方もありますが、大まかな考え方としてはすっと私の胸に落ちました。
薬剤師をしていると薬の事よりも人間関係の方に気を使っている時も多く、人間関係が不調だと薬剤業務にも支障をきたす可能性があります。自分の気持ちを客観的に整理するためにも、「嫌われる勇気」は役に立つと思います。
また、アドラー心理学については「マンガでやさしくわかるアドラー心理学(著者:岩井俊憲)」の方が文字だけでなく漫画や図を使っていてわかりやすいかもしれませんのでご参考までに。